クレアチンで薄毛になる?AGAとの関係をトレーナーが調べてみた

AGA

「クレアチンって、飲むとハゲるんですよね?」

セッション中、40代の男性会員さんにそう聞かれました。ジムの棚に置いてあるクレアチンの袋を見て、気になったようです。

その方の視線が、一瞬だけ私の生え際に向いたのを見逃しませんでした。

私自身、トレーニング歴は長く、クレアチンを飲んでいた時期もあります。そして、40代に入ってから生え際がM字に後退してきたのも事実です。

「関係ないですよ」と即答しかけて、言葉を止めました。本当に関係ないと言い切れるのか、自分でもきちんと調べたことがなかったからです。

クレアチンとは

クレアチンは、もともと体の中でも作られている成分で、肉や魚にも含まれています。

筋肉の中でエネルギーを素早く作り出す働きに関わっていて、サプリメントとして摂ると、瞬発的な力や反復できる回数が伸びやすいと言われています。

トレーニングの世界では、効果を示す研究が多いサプリメントのひとつとして知られています。

「クレアチンで薄毛」と言われるようになった理由

この噂の出どころは、2009年に発表された、南アフリカのラグビー選手を対象にした研究だと言われています。

この研究では、クレアチンを摂取したグループで、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンの値が上がったと報告されました。

DHTは、AGA(男性型脱毛症)の進行に深く関わっている物質です。そのため「クレアチンを飲むとDHTが増える、つまり薄毛になる」という話が広まったようです。

AGAとDHTの関係については、AGAの原因でも詳しく書いています。

研究の中身を見てみると

ただ、この研究にはいくつか注意点があると指摘されています。

  • 対象は20人ほどの、小規模な研究だった
  • 測ったのはDHTの値で、実際に髪が抜けたかどうかは調べていない
  • 最初の1週間は、一般的な量より多く摂る方法(ローディング)が使われていた

つまり、「DHTが上がった」という結果は出ていても、「薄毛になった」ことが確認されたわけではないということです。

さらに、その後に行われた別の研究では、クレアチンを摂取してもDHTの値や髪の状態に変化は見られなかった、という報告も出てきているようです。

現時点では、「クレアチンが薄毛の原因になる」という十分な根拠はない、と考えられています。

それでも気になる人はどうするか

とはいえ、AGAは遺伝やホルモンの影響を受けやすいものです。もともと薄毛が進みやすい体質の人が、少しでもリスクを避けたいと考えるのは自然なことだと思います。

気になる方は、次のような付き合い方が考えられます。

  • 一度に大量に摂るローディングはせず、少量を続ける
  • 「必ず飲まなければいけないもの」とは考えない
  • 生え際や頭頂部の変化を、写真で定期的に記録しておく

ちなみに、筋トレそのものが薄毛の原因になるという話も聞かれますが、こちらも明確な根拠はないと言われています。むしろ、睡眠不足や飲酒、喫煙など、生活習慣の影響のほうが大きいと考えられています。

会員さんへの答え

調べたあと、その会員さんにはこう伝えました。

「今のところ、クレアチンで薄毛になるという、はっきりした根拠はないようです。ただ、気になるなら無理に飲む必要もありません」

そして付け加えました。

「私の生え際は、クレアチンのせいではないと思います。たぶん、もともとです」

会員さんは笑っていましたが、半分は本音です。

薄毛の原因は、ひとつではない

クレアチンに限らず、「これを飲むとハゲる」「これを食べると生える」という話は、どうしても広まりやすいものです。

ただ、AGAの進行には、遺伝やホルモン、年齢、生活習慣など、さまざまな要因が重なっていると言われています。

ひとつのサプリメントを過剰に怖がるより、自分の頭皮や髪の変化に早めに気づくことのほうが、大切なのかもしれません。

薄毛の進行が気になる場合は、自己判断せず、専門家に相談してみることをおすすめします。


個人の体験・見解に基づく内容です。症状には個人差があり、効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

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