「牡蠣は髪にいいらしいぞ」
高校時代からの友人と居酒屋で飲んでいたとき、メニューを見ながらそう言われました。
この友人は、私が若いころ「お前は絶対ハゲる」と言い切った相手です。あれから二十数年、彼の髪はいまもふさふさで、生え際が後退しているのは私のほうです。人の頭のことは、言うものではありません。
言われるがままに生牡蠣を頼み、レモンを搾りながら、ふと思いました。毎日のように飲んでいるお酒と、髪の栄養は関係があるのだろうか、と。
久しぶりに会う人ほど「おでこ広くなった?」と言ってくるこの頃です。少し調べてみることにしました。
亜鉛と髪の関係
亜鉛は、体の中でさまざまな働きを担っているミネラルです。
髪の主成分はケラチンというタンパク質ですが、このケラチンを作る過程や、毛根で細胞が分裂する過程に、亜鉛が関わっていると言われています。
そのため、亜鉛が不足すると、髪が細くなったり抜けやすくなったりすることがあるようです。
亜鉛でAGAは止められるのか
ここは誤解しやすいところだと思います。
AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンが変化してできるDHTという物質が、毛根に作用することで進行すると言われています。
亜鉛がこのDHTの生成に関わる酵素を抑える可能性を示した研究もあるようですが、亜鉛だけでAGAの進行を止められるという根拠は、今のところ十分ではないとされています。
つまり、亜鉛は「AGAの治療」ではなく、「髪が育つための土台」を整える栄養のひとつ、と考えておくのが良さそうです。
お酒と亜鉛の意外な関係
調べていて耳が痛かったのが、お酒との関係です。
アルコールを分解する過程では亜鉛が使われるうえ、飲酒によって亜鉛が尿から排出されやすくなるとも言われています。
毎日ビールやハイボール、焼酎を飲んでいる私のような人は、知らないうちに亜鉛を消耗しているのかもしれません。
さらに、お酒の席で食事が偏ったり、締めの炭水化物で済ませたりすることも、栄養不足につながりやすいと考えられます。
亜鉛を含む食べもの
亜鉛は、次のような食べものに多く含まれていると言われています。
- 牡蠣
- 牛肉の赤身、レバー
- 卵
- チーズ
- 納豆などの大豆製品
- うなぎ
牡蠣は特に亜鉛が豊富な食材として知られています。友人の勧めは、案外的を射ていたようです。
ちなみに、焼き鳥のレバーや、刺身と一緒に頼む卵焼きなど、居酒屋のメニューでも意識すれば選べるものは意外と多いと感じました。
サプリメントの摂りすぎには注意
手軽に補えるサプリメントもありますが、亜鉛は摂りすぎると、銅の吸収を妨げるなど体に悪影響が出ることがあると言われています。
「髪のためにたくさん飲めばいい」というものではなく、まずは食事から、足りない分を補う程度に考えるのが良さそうです。
トレーナーとしても、お客様には「サプリは食事の補助」とお伝えしています。自分の髪のことになると、つい近道を探したくなるのですが。
栄養は土台、治療は別の話
亜鉛を意識した食事は、髪だけでなく体全体の調子を整えるうえでも、損のない習慣だと思います。
ただし、生え際の後退や頭頂部の薄毛が進んでいる場合、栄養だけで解決するのは難しいとも言われています。
薄毛の進行が気になる場合は、自己判断せず、専門家に相談してみることをおすすめします。
個人の体験・見解に基づく内容です。症状には個人差があり、効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。


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